たった一つの恋の思い出

元々あまり他人に興味がないという可愛げのない性格のせいで、恋愛どころか片思いもろくにしてこなかった私ですが、一つだけあれは恋だったのかな、と思い出す出来事があります。

その人は友達の彼で、面識はあるけれどもあいさつ以外言葉を交わしたこともないような人でした。
友達の彼だなんて、あまりにも興味がなくて顔をハッキリと覚えていなかったので、ある場所で彼だけを見かけた時はすぐにはわかりませんでした。

ある場所、というのは祖母がお世話になっていた老人ホーム。
彼はとてもギターの上手な人で、月に1度ボランティアとしてギターを演奏しに来ていたのでした。

歌も歌わずただギターを弾くだけの彼の姿に引き込まれ、それ以来毎月必ず見に行っていました。
心臓がバクバクして破裂しそうな思いをしたのは後にも先にもその時だけです。

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