私を誘った彼はスピード上げて抜いた

中型2輪の免許を取ってから3年目の夏、わたしはずっと行きたいと思っていた島へツーリングに行くことに決めました。
東京まで自走して、そこからはフェリーです。
港の場所がわからず、出港時間ギリギリに到着しました。

海は荒れ気味で、一日中走り続けた疲労もあって船酔いがひどく、食事もロクに取らず寝てばかりいました。
3日目にやっと港に着き、その日はすぐそばの宿に飛び込んでゆっくり休みました。

翌日は重い雲が垂れ込める曇りの天気。
不安な気持ちのまま北を目指して走り出しました。

ドライブインで昼食をとっていると、窓の外で雨が降り出したのが見えました。
レインスーツを着込み、慎重に走り出すと急に雨が激しく降り出し、前方がほとんど見えない状態でした。

路肩も見えず、どうしようもないまま超低速で走っていると、不意に黒っぽい大型のバイクが私を追い抜きました。
私の前に入ると減速して、赤いテールランプを灯しました。
どうやら誘導してくれていたようです。

雨が小降りになると、大きなバイクはスピードを上げて行ってしまいました。

ユースホステルに着くと、そのバイクが停まっていました。
私はすぐに持ち主を探し、お礼を言いました。

それが彼との出会いでした。

«