付き合いが長くなると甘えが出る

付き合いが長くなってくると、人は寛容でなくなるものだ。
付き合い始めの当初の頃は、相手に対してかなり優しくできていたとしても、だ。
例えば、食べ方が気になりはじめる。
ものの整理の仕方や、片付けに関する意識が違うことに気づく。
相手の欠点に対し、歯に衣着せぬ物言いになってくる。

こういう意識の変化は一種の甘えによるものなのだろうか。
それとも素を出せている証拠なのだろうか。
両方だろうか。
お互い長く一緒にいると、ずっと気を張っているわけにはいかないから、もちろん素が出てくるのは当然である。
けれど、その素の部分を相手に受け入れてもらおうとするのは甘えである。
片付けられない自分を相手に受け入れてもらおうとするのもそうだ。
それに、相手の気に入らないところを責めるのも甘えの一つだ。
ちょっときついことを言っても大丈夫、相手がこのくらいでは自分を嫌いにならないだろうという甘えなのである。
そこで問題なのは、相手に甘えるばかりで、自分の方を相手に合わせようとする意識が薄くなってくることだ。
これで失敗した経験のある方も多いだろう。
もちろん、私もその一人である。
相手のことを責めるばかりでつい自分のことが棚上げになってしまっていた。
だから自分の欠点には目が行き届かなかったのだ。
相手が自分を好きであるという感情が前提で成り立っている物事は、ふとした瞬間にそれが崩れることがある。
いつでも綱渡りなのだ。
だから、関係を続ける努力というのはいついかなるときでも必要なのだ。
というのを、私は人との別れによって学んだのである。

恋人よりも友達を大事にしたい時期

お互い久しぶりに会ったという偶然が恋だと思って勘違いして恋愛していたことに気がついた私。
そして、その私よりも一歩先にそのことに気がついて私に別れを伝えてきた彼。
私は彼を責めることはしませんでした。

なぜか、妙に彼の言葉に納得した自分がいたのです。
「友達に戻った方がお互い幸せの様な気がしない?」
その言葉は、本当に二人のことを思って言ってくれた彼の言葉の様な気がしました。
恋愛をしたいと思っている時にたまたま会ってしまった私たちは付き合い始めてもうまくいかないことばかりでした。
付き合っていくうちにどうにかなっていくだろうと思っていたことがなかなかうまくいかず、いつまでたっても喧嘩ばかりでした。
友達としては許せるけど、恋人だったら許せないことはたくさんあります。
友達をお互い大事にしたいと思っている時期だったので、特にすれ違う気持ちはたくさんありました。
友達との付き合いを優先して、彼に全く会わなかった時もあります。
彼も女友達が悩んでいるからと言って、その子の家に朝までいて喧嘩になったこともありました。
でも、お互い「彼氏彼女ができたから、友達付き合いが悪くなった」なんて言われたくなかったのです。
そんな私たちは自分たちでも恋人よりも友達を大事にしていることに気付いていましたが、それをやめませんでした。
きっと彼は恋人よりも友達を大事にしたいと言う自分や私の気持ちに気付き、これ以上二人の関係が悪くなるくらいなら、大事にできる「友達」に戻ろうと言ってくれたんじゃないか、と今でも私はその彼に感謝しています。